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発起人より皆様へ 

 

 前野さん、長澤さんとの御縁から、会の立ち上げに参加させて頂きました。 

土瓶に関心を持ってから約40年が経ちますが、この間に土瓶愛好家と出会う事はありませんでした。それだけに、このたびの会の設立には感慨深いものがあります。 

 土瓶への想いは人それぞれですから、皆で語り合い情報交換をする中から、新たな楽しみ方を発見して頂ければ幸いです。また、会の活動を通してより多くの魅力ある土瓶が生み出され、 

土瓶ファンが増える事を願っています。   

 

 蒲池 敬造 

 私が民芸陶器に興味を持ち、仕事として多くの品を扱って三十数年になりますが、土瓶はいつも私の心の中で大きな存在であり続けてきました。 

 土瓶程作るに難しく、使われる中で傷付く事が多く、無事に残る事の少ないものも無いのではないかと思います。それだけに、美しい土瓶に出会った時には何とも言えぬ嬉しさを覚えるのです。皆様と土瓶について色々と情報を交換し、一層学びながら楽しんでいけたら何よりです。 

 又、現在作られている土瓶についても御紹介させて頂き、少しでも多くの方に土瓶のある暮らしを楽しんで頂ければと思っています。今後ともどうぞよろしくお願い致します。   

 

 諸国民窯・古民芸たつの 長澤 正義

 かつてどこの家でも食卓を囲む家族の真ん中には、さまざまなうつわの中でもひときわ愛嬌のある姿をした土瓶の姿があったことでしょう。ところがいつのころからか日本の暮らしぶりも少しづつ変わり、土瓶を見かけることもまた少なくなってきたように思われます。 

 陶工の立場から言うならば、回転する轆轤の上でそのままかたちが見えてくる皿や鉢とは違って、土瓶はまず胴を挽き、蓋を作り、突き出した注ぎ口や両耳を取り付けて、焼きあがった後にさらに籐や真鍮や藤蔓で誂えた持ち手を準備してようやくかたちが仕上がります。それ相当の経験を積まなければかたちを収めるだけでも容易いことではありませんが、お茶を淹れたら持ち上げて湯呑に注いで茶葉を取り出してすすぐという一連の動作に心地よく寄り添うには、見た目だけでは済まない機能に規矩されたかたちが必要で、良い土瓶を作るのはなかなか並大抵のことではありません。それだけにまたやりがいと楽しみのある仕事であるとも感じながら土瓶と向き合っています。 

 土瓶を用いたお茶の時間の豊かさを愉しむこと、その工芸としてのうつくしさを愛でること、土瓶や鉉の生産を支えてゆくこと、どのような土瓶がどこでどのように作られ流通し使われてきたのかを学ぶことなどなど、土瓶にまつわるさまざまについて土瓶を愛する方と繋がりあいながら語り合い、情報を共有して土瓶文化を守り育んでゆきたいものと願っています。   

 

 生畑皿山窯 前野 直史 

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